命をあげよう (ミスサイゴンより) 本田美奈子
1975年4月、アメリカと南ベトナム解放民族戦線の間で戦われていたベトナム戦争は、終焉を迎えようとしていた。ベトナムの田舎娘だったキムは、17歳で家族を失い、家を焼かれ、首都サイゴンまで逃げてきた。そこで、通称エンジニアの経営する売春宿で働くことになった。最初のお客は、アメリカ兵のクリスだった。クリスは、戦争にも何もかにもにも嫌気がさしている状態だったが、戦友のジョンのおごりで、キムを買うことになった。キムとクリスは一晩だけの契りのはずだったが、お互いにひかれ愛し合い始めた。
アメリカは、ベトナムから撤退することを決意した。1975年4月30日、ついにサイゴン陥落。アメリカ軍は全面撤退する。クリスは、キムを連れてアメリカに帰ろうとし、全ての手続きを終えていたが、サイゴン陥落の日の混乱でついに、キムに会うことができず、一人で帰国することになった。その時にはキムの中には新しい命が宿っていた。 アメリカに帰国後3年たったある日、クリスは、ベトナムに残してきたキムのことを気にかけながらも新しい生活を始めることを選び、エレンと結婚する。
−−−−−−−−中略−−−−−−−−
1978年9月、アトランタで、ベトナム帰還兵がベトナムに残してきた子供(ブイ・ドイ)の支援活動を行うための集会の場でジョンはクリスに、キムがバンコクで生きており、子供がいることを告げた。クリスは苦しむが、エレンとともにバンコクに行くことを決意する。バンコクのキャバレーで、キムはホステスとして働いていた。そこへキムを探しに来たジョンに会う。キムはジョンからクリスがバンコクに来ていることを知った。ジョンは結局、クリスに妻がいることを告げることができなかった。キムは早くクリスに会いたい一心で、クリスの泊まっているホテルに出向く。そこには、キムを探すためにクリスもジョンも外出しており、エレンだけがいた。そしてキムは、クリスに妻がいることを知る。
キムの夢はたった一つ。クリスとの間にできた息子タムを自由の国アメリカに連れて行き、幸せな生活を送らせることであった。しかし自分がいては、タムもアメリカに行けないことを悟り、自ら命を絶つことを決意した。
キム役を演じ、劇中「命をあげよう」を故本田美奈子が歌います。
歌の迫力に心が揺さぶられました。
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